プレマ基金・支援の足跡「ゆうきの里 東和」へ

スタッフ河村

2011年3月11日より約1年と4ヶ月が経った7月、震災後はじめて、福島を訪れる機会を得ました。9月には東京にて、福島支援シンポジウムを開催しました。プレマ基金を通じてご縁を結んだ方々のお話のなかから、今回7月に訪問したときのレポートは特に農の分野に関して、1年が過ぎた今だからこそ起こっている事態や現状お伝えしたいと思います。何かしたい、そう想ってくださっている方々のご参考となれば幸いです。


NPO法人ゆうきの里東和 ふるさとづくり協議会

福島県二本松市にある、NPO法人ゆうきの里東和 ふるさとづくり協議会。プレマ基金でも深いお付き合いのある、案内人の海老沢さんにお話を聞きました。ここには、プレマ基金の支援として、ベクレルモニターLB200とシンチレーター測定器AT1320Aが設置され、地元でとれるさまざまな食品の放射線量測定が行われています。
3.11震災後、約1年と4ヶ月が経った今の状況を改めてお訊きしたところ、震災後1年目は、何とかしようとがむしゃらに前を向いて頑張れたそうですが、2年目に入り、のらりくらりと具体的な施策がされない状況が続き、目標の見えないなかでじわじわと真綿で絞められるような苦しさがあるとのこと。しかしそんな状況下でも、新たな動きは着実に進められています。

測定を重ねデータを蓄積することで、どのような環境で値が高くなるのかなどが分かりはじめ、対策も立てやすくなっているそうです。食品だけでなく、内部被爆の検査も、幅広い年代を対象に行われはじめています。不安をそのままにするのではなく、その実体を見極めた上で対策を立てることの重要性を感じました。


放射性物質に関する問題はもちろん、その他諸々の問題を考えたときに、今だからこそ有機農作物の力を見直すことも改めて重要だと感じられました。「有機」といってもさまざまで、ブームのなかで、肥料の作り方や使い方など有機だからといって一概に良いとはいない現実もあります。けれど有機栽培の原点は、作物自体の生命力を強くすることです。海老沢さんいわく、それは作物の「生命をいただく」こと。適切に育てられた有機農作物は、おいしさにあふれ、もちも良いものです。それは作物自体の生命力が強いということであり、土の状態など環境が自然本来の形で調和しているということ。そこに放射性物質への対策も期待されています。

不安や、さまざまな思惑による報道、それらひとつひとつに反応してしまうのは、もぐらたたきのようなものできりがない…だから、ゆうきの里東和で行われていることは、細やかな測定であったり、丁寧な有機栽培であったり、難しいことではなくシンプルなことです。答えはすでに出ているのだから、やるかやらないかだと、その姿勢に覚悟が表れています。状況に流されるのではなく自分で決めて行動することで、先の見えない不安が、具体的な目的に変わっていくようです。