10000食のナチュラル・ジェラートを医療の最前線へ

支援レポート(中川信男 Facebook) >>

この日本でくり返し報道されるニュースは、私の理解を超えていました。

「病院の風下にある家から苦情の電話が鳴り止まない。」
「医療従事者の子どもがいじめにあう。」

諸外国のように、感謝とねぎらいの声がたくさん届く、のなら当たり前のことなのですが、世間の不理解の前に、受けなくてもよい苦しみを受けることになっている現実に強く心が痛みました。

京都では、4月、京都産業大学で発生したクラスターに伴い、理不尽かつ合理的ではない理由で、当事者と関係も接触もない同学の学生が差別的な待遇を受けていることについて、会社として速やかに声明を出しました。
声明について(らくなちゅらる通信5月号)

声明でも明らかにしたとおり、この光景は東日本大震災と福島における原発事故のときと同様、およそ科学的とはいえない無知がもたらすものであり、私たちはこのようなときにこそ、どうしても乗り越えなければならない感情の暴走なのです。

私たちは、かつてハンセン病(らい病)患者に対して、同様の集団的偏見と差別的対応を行ってきた歴史があります。当時の科学知識や社会状況では致し方ない仕方ない側面もあったことは否めませんが、病気の本質が明らかになってもなお、罹患者が社会的制裁を受け続けなければならなかった悲しい事実があります。現代においては私たちには充分な医学的知識があり、それを知ることも極めて容易な時代を生きています。それなのになぜ、という気持ちと同時に、誰もが恐怖に怯え、自制を強いられた重圧があることもまた事実であり、これを責めたところで何も実状は変わらないのです。


せめて、私たちはその片棒を担がないことを心に決め、そして私たちに出来ることをやりたい。

その結果考えたのが、私たちが自らの手で作り、そして提供することができるジェラートに、その思いを載せることでした。

自然食販売会社であるプレマ株式会社がジェラートに至った理由、それはこちらの記事でも書いてきたように、私たちはジェラートを作るのではなく、「心の薬」を作ることであると気づいた瞬間から、見える世界が変わりました

おいしいジェラートを作るために、合成添加物は一切いらない。
おいしいことと、身体と心によいことは必ず両立する。

このことだけを証明するために、素材の品質は一切問わず、ただ味だけで評価されるイタリア最大のジェラート国際コンテストに出場を続け、3年連続5部門入賞を果たしたことで、この事実は証明されたと思っています。

私の親族の死において経験したこと、それは、人は病の終着点に近い場所で、口にやさしいアイスクリームを欲するという事実です。病に伏すまでもなく、良質のジェラートは日々の苦難に立ち向かう人々の心を溶かし、またがんばる力を与えてくれるということもまた真実であると日々実感してきました。

極めて残念なことに、ジェラートの本場・イタリアのロックダウン下においてはジェラート店の営業は一切認められず、何ヶ月にもわたってイタリア人の食文化と癒やしの象徴であるジェラートは人々の口に届くことができませんでした。私はこの事実にも心を痛め、やはり何かできないかと考えてはいたものの、明確な答えには至れないままで悶々と日々を過ごしていたのです。

もちろん、日本でも自粛要請のため、私たちの飲食店舗もまた極めて厳しい状況になりましたが、そのようなレベルとは起きている自体の深刻度が違うところが、世界のあちこちにあるのです。

COVID-19の最前線にいて、自らを犠牲にして向かい合う医療スタッフの皆さんがいること。
ジェラートの本国、イタリアにおいてもジェラートは大事なときに人に届かなかったこと。

この2つへの悲しみと共感、そして応援の気持ちを表現することが、私たちの今できることにほかならない。

これが、私たちが後先考えずに
「10000食のナチュラル・ジェラートを、COVID-19と向かい合う医療スタッフの皆さんにお届けする」と決めた理由です。

同じお届けするのなら、他にはない、医療関係者の皆さんの心の薬、そして身体の糧になるよう

  • 多忙で、充分日光に浴することができない方の免疫力維持のため、ビタミンD3を1カップ5000IU添加する
  • ゆっくり食事もとれず、どうしても不足するマグネシウムやカルシウムほか70種以上のミネラルを加える
  • ビタミンCや鉄、葉酸、水溶性・不溶性食物繊維を大量に含むスーパーフードや薬膳素材を複数使う
  • 水の力を生かし、水と和素材の力を引き出すことで合成乳化剤や合成安定剤等の添加物を一切使わず
  • 共感の心でつくり、感謝の心で無償の愛を一挙手一投足に注ぐボランティアの皆さんでカップ詰めする

ことにしました。

私たちのもつ設備や無償で製造・カップ詰めできるメンバー、資金等の限界から、1週間700個を目安に、店舗のある京都と東京の合意をいただいた感染症指定病院、クラスター発生病院の感染症対応スタッフの皆さんに4ヶ月にわたってお届けすることにしています。

ここからの4ヶ月間で、「暇だから、もういらないよ」と笑って言っていただけるような日が来ることを望んでいますが、状況は予断を許しません。この国が直面する問題はコロナウイルスの蔓延そのものというよりも、重症化した方を助けようとする医療の現場で尽力する皆さんのリソースが限られていることであると理解しています。

徐々に自粛解除が進んでおり、世間のムードが明るくなってきたとしても、だからこそ一部の医療機関に極度の負荷と心労がかかり続けることは当面変わりません。

お届けするジェラートの製造にあたっては、特殊な素材を多用するため、労務費や設備の減価償却費を算入しない素材原価と輸送費等で1カップ200円程度になる見込みです。

1カップ約200円のコストを
・1カップ100円について、皆さまにご支援をお願いし、
・1カップ100円について、プレマ株式会社が負担いたします。

お願いになってしまい申し訳ありませんが、本件ご理解ご賛同いただけるようでしたら、ぜひともプレマ基金口座へのご送金や、店頭などでの募金をお願いしたく、どうかよろしくお願いいたします。
※プレマ基金は、「ボランティアでもNPOでもない、人と人のつながりを信頼する支援のかたちです。(設立2011年)」
クラウドファンディングは手数料が多額かつ、本件はリターンを提供するプロジェクトではないため、あえてプレマ基金の別口座で管理いたします。

また、会社持ち出しの費用については、皆さまにプレマルシェ・ジェラテリアをご利用いただくことや、プレマ株式会社の店舗通販をご利用いただくことで成り立ちます。ぜひ、積極的なご利用も併せてお願いいたします。

各感染症指定病院への納品状況や、ご支援いただく資金の利用については、逐一FacebookInstagramプレマ基金HPプレマ株式会社の各HPにてご報告させていただきます。

2020年5月10日

プレマ株式会社
代表取締役 中川信男

プレマルシェ・ジェラテリア
カップ詰め・配送市民ボランティア賛同者一同

支援が決定している病院(2020年5月20日現在)

京都京都第一赤十字病院社会医療法人 西陣健康会 堀川病院
東京東京医科大学八王子医療センター永寿総合病院

これまでにご支援頂きました皆さま

京都:ボランティアの皆さまの活動

東京:ボランティアの皆さまの活動

ジェラート納品数

御礼:

本プロジェクトの着想に関し、以下の「弁当の底力」をすでに京都で実施されていた京中の加藤様ほかプロジェクト参画の皆さまに多大なる導きをいただきました。

弁当の底力: https://powerofbento.com/

私一人で悶々と、すでにご説明したようなクラスター発生医療従事者の皆さんになにか出来ないか、何かしたいけれども、ただ個人的に動くことで混乱している現場をさらに混乱に陥れるのではないかという心配もあり、諸々の行動を躊躇していたところに、「弁当の底力」様のプロジェクトを知るに至り、問い合わせをさせていただいたところからすべてがスタートしています。

弁当支援のプロジェクトに、冷凍庫や厳密な温度管理が必要なジェラートはどうか、という無理難題にも加藤様が病院側との調整をすすめていただいた結果、今回の決断に至ることができました。

また、京都のジェラートの定期配送については加藤様はじめ、配送を無償で請け負っていただく有志の皆様方のお力もお借りすることになります。

なにごとも一人ではできない。

最初の一歩を大きく進めていただいた「弁当の底力」様との出会いであり、このご縁に深く感謝するとともに、併せて皆さまのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。